ヨーロッパテイストの世界観が
「クラフト・エヴィング商會三代目」の娘、
吉田音<おん>を主人公とした探偵譚の第二弾
クラフト・エヴィング商會の他の本にも出てくる探偵、
「円田さん」も登場。
前作『Think―夜に猫が身をひそめるところ』に比べ、
伏線の張り方といい、謎のちょっとしたリアリティといい
全体的な仕上がりのレベルがかなり高い。
登場人物が日本人でかつ舞台が横浜ながら、相変わらず
ヨーロッパテイストの世界観が淡々と流れている。
温もりのある本
温もりのある本に出会うのは珍しく、出会った時は嬉しい気分になる。 特にこういう本はなかなか探すのが容易ではなく、大きい書店に隠れるようにして置いてある。 実際、本棚の一番上にひっそりと横になって置いてあった。 まるでこの本に出てくる黒猫のように。 今では百貨店のブックコーナーにお勧めで置いてあったりして残念だが。当時はまだ知名度も低く、Think同様一冊づつあって読んでみたら他の作家にはない、 何ともいえない温もりを感じ、いい本に出会ったと思っていた。 現実の世界にちょっと不思議な要素を加えるさじ加減が絶妙。 日常の当たり前のことを普通にやって、そういう日々の中で感じ入ることを見つけられる人は生活の達人だ。 作者はきっとそんな人間の一人だろう。 !黒猫のシンクが、飼い主で探偵の円田さん家にさまざまな「お土産」を持ってきて、それがどこからきたのかを中学生の作者と円田さんが推理していく。 しかし、解決は決してしない。あくまで、想像して楽しむのである。 情報化社会の今、問題を解決するのは容易だ。 問題を解決していく上で、色々考えるという過程がとても大事なのに・・・。 「考える」という人間にしかない能力を、今の時代忘れかけているような気がする。
ああ、続編は・・・
前作からちょうど良い間合いで発刊され、4・5作のシリーズで完結するのかな、と思っていたのですが。 続編と言うより、何作かを積み重ねて初めて完成する連作と呼べる内容です。 ちょっとした伏線や、意外な物語のつながりが積み重なり、最終的に一枚のにぎやかな絵が出来上がるような、そんなイメージです。 ところがどうしたことか2作発表の後、一向に次巻が発刊されません。 今までもいくつかこうした作品に出会っていて、「未刊」も作品の属性のひとつと思って入るのですが、やはり少し残念です。 若い作者の作品は、どんな事情があれ完結させることが出版の使命です。 と言っても実はこの娘さん架空の存在なのですが・・・ クラフトエヴィングばりに、「いまだ刊行されていない書籍の復刊」!をどこかのサイトで募ってないでしょうかねぇ。
タイトルの
小さなフレーズが重なり合い弧を描きうずとなる、「あの名曲」が聴こえる小説です。さらに私は、かつてプラネタリュウムだったドームとオープンから大掛かりな陳列変更のない専門書店がある古めかしいビルの1Fで頂いた、ホイップクリーム添えのお菓子を思い出しました。
筑摩書房
Think―夜に猫が身をひそめるところ (ミルリトン探偵局シリーズ 1) 百鼠 a piece of cake 十字路のあるところ じつは、わたくしこういうものです
|