ダイナミズムを解明できていない
タイトルや紹介文は、本書の内容と一致していない。著者は、国際東アジア研究センターからワーキングペーパーとして『中国経済と香港:統計的分析』を出している。本書は、これを市販書に仕立て直したもののようだが、統計以外の議論など本格的な加筆はサボったようである。それなら、本を売るためにカンバン倒れなタイトルをつけるより、元の方が素直だと思う。
そもそも筆者は経済学者として有名になった人のようだが、中国や香港の専門家ではない。酷な言い方だが、統計屋さんが中国に関する経済統計と、香港の貿易統計に関する別々の論文を無理やり一つの本に押し込んだに過ぎない。中国に関しては各種の統計を使っているが、香港に関しては貿易以外の統計はほとんど出てこないという点でも、偏っている。
香港と広東省に触れた節もあるが、中国経済と香港の相関関係には踏み込めていない。終章の副題が「限られた角度からのスケッチ」とされているが、まさに限られた角度からしか分析がなされていない。本書を読んで、中国経済と香港経済のダイナミズムを理解するのは無理だろう。また、本文は約150頁しかなく新書サイズに収まる程度の分量しかない。それで定価が2300円とは少し高い気がする。
我田引水
いくら統計の専門家だとはいえ、こうした時代の波に乗ったようなタイトルを本につけて、内容はグラフのオンパレード。肝心の分析はいまいち。なんか知的テキヤにしてやられたような読後感です。自腹切ってこの本を買った自分がちょっと可哀想になりました。資料価値としての星2つです。過去のデータの羅列で、その延長線上に未来が見えるわけでもなく、リスクファクターに言及せず、ましてや分析もせず、自らの中国コネクションの仄めかしで締めくくる。 この著者は頼まれもしないのに誰かさんのために提灯持っているようなお方ですな。
勁草書房
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