一番身近なセキュリティ脅威であるコンピュータウィルスは年々高度化し、その働きもコンピュータを不能にするもの、特定のサーバを攻撃するものなど、さらに悪意あるものに進化してきた。セキュリティベンダは対策を打ち出すものの、それは常に後手であり、ユーザのすべてが推奨される対策を施すわけでもない。実際の病と同様に、ウィルスがなくなることはないのが実情だ。 本書はウィルスを正しく知る人間を増やすことにより、ウィルスの蔓延に歯止めをかけることを目標に編集されている。第1部ではウィルスの定義や、現在流通しているウィルスの活動と動作の詳細、第2部ではそれらウィルスへの対処方法が記されている。対処の方法としてはアンチウイルスソフトの動作の仕組みと、製品を選ぶ際の注意すべき点も詳細に述べられているので実際のウィルス対策にも役に立つだろう。 さらに第3部では、過去から現在に到るまでのウィルスの事例分析としてブートセクタウィルス、マクロウィルス、ワームと電子メールウィルスという時代ごとのウィルスの事例が扱われており、過去にどのようなウィルスが出現し、かつどのような被害をもたらしたかを理解できる。第4部ではウィルスの持つ社会的な側面、すなわち、ウィルス対策などをかたったデマメールやチェーンレター、都市伝説についても言及しており、いくつかの事例と対処の方法が紹介されている。 個人ユーザにも、セキュリティ管理者など他者を指示する立場にある者にも役立つ情報が本書には多く含まれている。ただし内容の理解にはそれなりの知識が必要だ。ブートの仕組みやOS、ネットワークの基礎知識がなければ理解は難しいだろう。また本書ではウィルスの防止を主眼においているため、悪用される恐れのあるコード類は一切記載されていないので、ウィルスの研究や勉強をしようと考える方は注意してほしい。管理者などの業務に就いており、ウィルスについて詳しい情報が必要な技術系の人間に向くだろう。(斎藤牧人)
ソフトバンククリエイティブ
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