モンゴル帝国の興亡〈上〉軍事拡大の時代 (講談社現代新書)



モンゴル帝国の興亡〈上〉軍事拡大の時代 (講談社現代新書)
モンゴル帝国の興亡〈上〉軍事拡大の時代 (講談社現代新書)

ジャンル:歴史,日本史,西洋史,世界史
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おもしろいです。

大変面白くて為になりました。800年前にこんな大変化が世界にあったなんて。再読しようと思います。
モンゴル草原から世界史を見直す

 「草原」史観で知られる著者の、渾身のモンゴル史。
 これまでやや世界史の主流からはずれた印象のあるモンゴルに焦点を当てて、この歴史像を多数の言語の史料から読み解き、再構築し、ひいては世界史像の大胆な読み直しを迫るという大胆な知的試みの書。
 チンギスの時代からクビライ政権の時期までをカバーする。多くの読者が、これまで学校で習ってきた歴史像と異なるのに驚き、一種の知的興奮と快感を覚えるに違いない。トルコのトプカプ宮殿やコロンブスから本書が書き起こされるように、あくまでスケールは大きい。 
 ただし、詳細に関してはこれから検討されるべき点が多いのも事実である。
とても面白いモンゴル帝国史

本書『モンゴル帝国の興亡』は、漢語やペルシア語等、多言語文献を駆使してなされた最新のモンゴル帝国研究である。従来のモンゴル帝国研究が、いかに西欧中心史観、中華史観に基づいていたかがよくわかる。高校世界史で習ったことがボロボロと崩れていくようなある意味で心地よい感触を持たされる。

上巻では帝国の黎明期であるチンギスの勃興から、クビライの台頭までを描く。帝国拡大の過程が鮮明に描かれており、臨場感を持って一気に読めてしまう。また、一国史の集積としての世界史という視点が近年批判にさらされつつある中、本書における「グローバルヒストリー」としてのモンゴル帝国史という視点は非常に興味深い。歴史が好きな方にはぜひ薦めたい名著だと思う。

壮大な面白さ

現在のイラク戦争の情勢を直視すれば解る様に、人は暴力だけで君臨する者に対して必ず抵抗する。要するに、大帝国と云う物は、出来るならば出来るだけの社会的な要求があったと云う事なのだ。西紀十三世紀、モンゴルはその要求に応えた。だから、たかが弓矢の軍隊であれだけの大征服が出来たのだ。本書はまとまった独立の書籍としては、初めてそれを真正面から主張した書物の前編だ。
私は本書を初めて精読したとき、正直本当に面白いと思った。此れだけ文章を面白く読ませる歴史学者は、故前島信次氏以来の事だ。殊に白眉なのは、三峯山の合戦とその前後についての記述である。これを読めば、誰だってトルイのチンギス・カンの後継の正統性を感ずるに相違あるまい。だが、帝位に就き保ったのは、三兄オゴデイだった。そして、本書の記述は、そのトルイの嫡子モンケの怒りの大きさも暗示させてもいる。バトゥが帝室の実権を握りキング・メーカーとなってモンケを帝位に就ける件は、爽快感すら覚えて仕舞った。
只、フレグの西征の最終目標が西欧だったと云う記述については、私は賛成しかねる。何故なら、エジプト征服がもしも叶ったならば、フレグの眼前には当時の西欧と同じ位豊かでもっと征服し易い土地があったからだ。それは何処か、私は故意に言わない事にする。
力と制覇の草原

 長らく歴史の闇に埋もれてきたモンゴル高原ですが、12世紀の後半、チンギス・カンという一大政治家の出現により、分裂の克服と政治的統合を達成することとなりました。これは、草原の抗争によって培われてきた潜在的軍事力の組織化につながり、彼らのエネルギーは草原を東へ西へと迸っていきます。
 代替わりの毎に分裂と混乱の契機を萌芽させつつも、チンギスの血はモンゴル諸王侯をゆるやかに結びつけ、イェケ・モンゴル・ウルスは帝国としてユーラシア全域を席捲・制覇するに至ります。
 そんな中、実弟をはじめとする一族との抗争に勝ち抜き大ハーンの権力を手にしたクビライは、南の中華文明圏に対して憧憬と羨望の眼差しを注ぐのでした。
 本書は、我が国におけるモンゴル史研究の第一人者たる杉山教授が、こうしたモンゴルの帝国的発展を一般向けに平易に解説するものです。上巻は「軍事拡大の時代」としてチンギスの登場からクビライの即位までを対象に、モンゴルの発展・征服・抗争を描きます。
 著者は、漢文史料のみならず、ペルシャ語文献等をも歴史の素材として活用することを提唱しており、本書にも「集史」などをネタとした記述をふんだんに盛り込まれ、内容に奥行きを与えています。
 モンゴル帝国の全体像を把握する上で、たいへん優れた本だと思います。



講談社
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