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新・環境思想論―二十一世紀型エコロジーのすすめ
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| 分類: | 本
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| 参考価格: | ¥ 2,100 (消費税込)
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海上知明さんと環境思想、そして里山 海上知明さんは前著の『環境思想 歴史と体系』及び『環境戦略のすすめ』において環境思想の多くを体系的に分類し、それぞれの由来や論拠を整理すると共に、そうした様々な環境思想の対立を超えうる政策提言をもしてきた。環境思想の俯瞰図を描きあげたという面で海上さんの功績は大きく、僕も自分の考えを整理する上で海上さんの本をいつも参考にさせていただいている。
本書は基本的に前2著の流れを汲むものだが、特に文化・文明論に多くを割いているという点と、海上さん自身の土浦での実践との関係で里山の問題に言及している点が興味深い。海上さんは、文明を「ある地域の文化から派生し、価値体系をともなって広範な地域を覆った経済システム」と定義し、現代文明とは「地下の鉱物資源を利用して画一的な大量生産を集中的に行うものであり、そのために生産と資源浪費、そして汚染は無限に拡大する傾向をもち、その製品を売り払うために世界全体を一つの枠組みに組み込んでいく」形を取ってきたと語る。
現代文明の根にヨーロッパの伝統的文化とも言える「自然克服」の考えがあるというのは多くの人が指摘してきたことだが、海上さんは現代文明の問題を解決するためには、精神的なレベルで自然克服思想を変革することと、システム的に産業革命構造を変革することが必要だと語り、より根本的な変革に向けては特に前者が重要だと指摘する。そして、守るべきものは様々な地方での文化であり、変えるべきものは現代文明というシステムだが、地方の文化が新しい文明となるためには、それが他の地域でも受け入れられるようにシステム化され、経済的優位性も示す必要があると言う。つまり、里山についてもこうした視点から見ていく必要があるわけだ。
海上さんは、日本において多くの里山が荒廃したのは、経済システムとして里山を維持することが困難になったからだと喝破した上で、今後の文明化を視野に入れて里山に普遍性を求めるとすれば、「自然から価値を得る思想」と「二元論ではなく自然と人間社会の融合」の2点が重要だと語る。つまり、ヨーロッパ由来の環境思想の多くが「自然克服」を原動力としており、それへの反動として「反人間」という思想が出てきているのに対して、里山が提示するのは「自然から価値を得る経済」と「自然と社会の中間地点の意識」だというのである。これは僕にもよく理解できる考え方で、強い共感をおぼえるところだ。
文明と環境問題を考えるための良書 本書は
第1章 文明と文化と思想
第2章 ヨーロッパ文明の拡大
第3章 ヨーロッパ文明から派生した現代環境思想
第4章 新しい文明のもととしての思想
結論 輝ける未来のために
で構成されている。
全体を通じて、文明を成立させる経済システムとその思想を
解説し、我々が将来「守るべきもの」を提言している。
「第4章 新しい文明のもととしての思想」では
環境に関する東洋思想の重要性に触れ、日本における
「日本書記」から現代までの「エコロジーの価値」を取り上げている。
「緑の世界史」や「銃・病原菌・鉄…」等、の読者には、お勧めの
1冊である。
環境思想論の入門書としておすすめ 「環境思想 歴史と体系」、「環境戦略のすすめ エコシステムとしての日本」と環境問題についての背景となる深層の思想 から環境戦略という具体的な展開まで述べてきた著者の最新刊である。
本作では、著者の得意とする環境思想という立脚点から、文明と文化、そして環境問題とそれに対処した政策の眺めなおしがなされている。
特に文明・文化論については力点が置かれている。
文明を「広範囲を覆った価値観をともなった経済システム」とみなし、その文明を生み出すのがある地域の自然風土と関連した文化とみなした上で、現代文明を自然克服思想に基づいた鉱物基盤の画一大量生産システムとして捉えた上での環境論を展開しているのが最大の特徴であろう。
最後の方では、環境思想に立脚した文明のもととなるもののモデルとして日本をあげ、仏教思想をはじめとする思想を環境思想の点から眺め、「人間の心性の現れとしての思想」のあり方について問題提起をしているが、「環境戦略」を含めて、具体的な思想、実践面での深化が今後期待される。
「環境思想 歴史と体系」、「環境戦略のすすめ エコシステムとしての日本」よりも読みやすく、環境論についての入門書としてもおすすめである。
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