被抑圧者の教育学 (A.A.LA教育・文化叢書 4)



被抑圧者の教育学 (A.A.LA教育・文化叢書 4)
被抑圧者の教育学 (A.A.LA教育・文化叢書 4)

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労働を我が手に取り戻せ
『1時間しか働かなかったあの連中に,なぜ1日必死で働いた私たちと同じ賃金を与えるのか!』(「ぶどう園の労働者」のたとえ:マタイ20)

最近,自己表現や対等なコミュニケーションなど,お気楽楽天的な教育の典拠として,本書に触れるものが多いが,本書は徹頭徹尾,革命実現のための教育についてこそ語るものである。労働者が労働=自己表現を我が物に取り戻した世界にむけた,まさに資本主義を打ち倒すためこその一冊である。

序章でほのめかすように,フレイレの批判は,イエスがパリサイ派を戒律主義を宗教をローマ帝国を資本主義を徹底的に批判した文法・語りをそっくりそのまま受け継ぐもの。直接否定せず常に逆説的に批判するそれは,パルメニデスの問い「あるか,もしくはあらぬか」によって絶対の「ある」が現れるあの呪いをどこまでも回避する。そしてそこから二次的に現れる対話空間を教育の場として立ち現させる。そこから先はヘーゲル‐マルクスが導いてくれる。

右手に新約聖書,左手に資本論をもって読む本書は,ここまで苛烈になってもなおこの金融支配資本主義体制に浸かったまま温々と教育を説く者には読みきれない。革命に身を投じる覚悟があるか。被抑圧者として自分を投じる覚悟があるか。もしないのなら本書が言う「偽りの寛大」を振りまいているだけに過ぎない。あまりにも重い重い,そうそう簡単にやすやすと消費されるべきでないテキストだ。

「怠け者で非生産的なあの連中に賃金を与えるのか!」そうとしか思えなくさせられてしまっている人(私も)に,本書がどこまで読めるか。チャレンジング極まりない一冊。訳も良い。

参加型開発の走り?
この本は、パウロフレイレの識字に対する考え方やエンパワーメントの考え方を理解する上で非常に大事であると思う。彼の考え方は、今に至るまでいろいろ批判もされてきてはいるが参加型手法やエンパワーメントに関する現在の議論に多くを貢献してきている。実際、インドやバングラデッシュでも彼の考え方を信じて活動している方々もまだいらっしゃる。教育、開発に興味がある人は1度は読んでおいていい本だと思う。

これはもう必読書!
抑圧された人々が自分を取り戻すための手段としての識字教育。それがフレイレの出発点だったと思いますが、フレイレが示した「意識化」の考え方は、その後の教育学や開発学に大きな影響を与えています。

この本は迷うことなく読むべきマイルストーンです。

ただ、意識化という言葉自体が広がるにつれて、我田引水的な言葉の使用も増えてしまっているのが残念なことですが。

識字とは何か?
ブラジル出身のフレイレが、アメリカ亡命時代に著した識字の「古典」。彼がラテン・アメリカで指導してきた識字教育、「意識化の識字」を支える思想や具体的な方法が書かれてあります。農民の、自分がいなければ世界は存在しない、なぜなら、世界を世界だと規定する存在がいなくなるから、という言葉が、印象的でした。




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